今やコンサートや舞台演出で欠かせなくなった「スモーク演出」。照明効果と視覚効果をより高めて、幻想的で臨場感あふれるステージにしてくれますよね。
このとても演出効果が高いスモークですが、じつはプロジェクターにとってはちょっと注意が必要になります。
今回はスモークとプロジェクターの併用について説明します!
スモークの「水溶性」と「油性」
ステージの演出で使用されるスモークは「フォグマシーン」や「スモークマシーン」と呼ばれる専用の機械に、スモークの素となる特殊な液体「スモーク液」を入れて噴霧させることで発生します。このスモーク液には「水溶性」と「油性」があり、それぞれの見え方や耐久時間などの特徴によって使用されるシーンは異なります。そして、見た目ではなかなか区別がつかない水溶性と油性のスモークですが、特に油性のスモークがプロジェクターに影響を与えやすいと言われています。
プロジェクターの中身のお話
プロジェクターの内部は、ランプやレーザーなどの光源、映像を作りだすデバイス、そして光源から各デバイスへ光を送るミラーや最終的に映像を投影するためのレンズなどで構成されています。とても複雑で繊細なプロジェクター内部は塵やホコリに弱いため、常に丁寧かつ慎重なハンドリングとメンテナンスが必要となります。
また、プロジェクターは光と同時に熱も発生させますが、これにより内部温度が高温になりすぎないようプロジェクターは吸気と排気を行っています。こうして常に内部の温度を一定に保っているわけです。
しかし、このようにプロジェクターが吸気排気を繰り返しているうちに、演出用のスモークがプロジェクターの内部に吸い込まれてしまい、特に油性のスモークであれば内部のさまざまなデバイスに付着してしまいます。
こんなことが起こります
プロジェクター内部に入り込んでしまった油の微粒子は、プロジェクターのデバイスやミラー、レンズ等に付着することで、それら精密な各パーツの正常作動を阻害してしまいます。
たとえば、液晶パネルやDMDのようなプロジェクターの心臓部分に油微粒子が付着すると、送り出される光が乱反射を起こしてしまいます。
↑↑↑ 明らかに緑色が広がり、プロジェクターから光が正常に投影されていないのがわかります。
まずはしっかりプランニングをしましょう
「えー!もうスモークとプロジェクターを一緒に使えないじゃん!」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、「ダメ!ぜったい!スモークNO!」というわけではありません。
たとえば、物理的な対応策として「プロジェクターの映写室設置」や「スモークマシーンとプロジェクターの距離を離す」などが考えられます。また、プロジェクターの吸気口にスモークが近づかないよう、サーキュレーターを活用することもアイデアのひとつです。
ただし、会場の常設装置やステージ位置、ステージ周囲の装飾やフロアレイアウト、スモークの濃度やスモークマシーンの向き・・・などなど、さまざまな条件によって対応は異なります。そのため、しっかり事前に演出方法と合わせて対応策もプランニングすることで、機器破損などのリスクを最大限抑えることが大切ですね。
「イベントでガンガンにスモーク焚きたいんだけど、映像機器はどうしたらいい?」などお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。対応策や設置プランをご提案いたします。